働き方改革とは、国内の労働者における今までの労働形態を見直し、一億総活躍社会の実現による国内生産性の向上を目的として政府が掲げた取り組みです。
一見難しそうな内容にも思いますが、実はとても簡単です。
ここでは、働き方改革の9つのテーマと働き方改革の導入事例などを、わかりやすく紹介します。
働き方改革を構成する9つのテーマ
働き方改革には、長時間労働や雇用形態による格差などの課題を解決するための鍵となる9つのテーマが存在します。
1.正規雇用と非正規雇用の格差解消
雇用形態による賃金や福利厚生などの格差を解消し、「同一労働同一賃金」を実現するため、雇用に関する法令の見直しと改正が計画されることになりました。
2.労働生産性の向上と賃金の引き上げ
企業が利益を社員へ十分に還元できていないという問題を解決するため、賃金の引き上げによって生産性を向上した企業に助成金を出すなどの計画を進めています。
3.長時間労働の是正
昨今では長時間労働による心身の疾患などが話題となりますが、この長時間労働を是正するため、「残業時間」などに上限を設けるという計画が行われています。
4.転職・再就職支援
労働者にとって転職や再就職は「給与ダウン」や「再就職難」などマイナスの側面が多いものでした。
これを解決するため、求人倍率の高い職業へのマッチング支援などの計画がされています。
5.柔軟な働き方の環境整備
労働者それぞれの事情にマッチした柔軟な働き方が難しいという問題を解決するため、副業や兼業にまつわるガイドラインの制定や、テレワーク労働を普及させるための計画が進められています。
6.女性と若年者の活躍支援
働く女性が活躍できる社会の実現を目指して、「女性活躍推進法」が制定されました。
また、専門教育講座を受講する時の給付金を増やし、個人の学び直し支援を行っています。
7.高齢者の就業促進
労働者は65歳の定年を迎えると同時に労働環境から離れるというケースが多いですが、65歳以上の継続雇用延長を行う企業を支援するという内容のものです。
8.子育てや介護と仕事の両立
国民の中には子育てや介護などといった様々な事情から労働に参加できないという人も多く存在します。
労働人口確保のため、テレワークなどの時間や場所にとらわれない働き方の普及を目的としたガイドラインの制定を進めています。
9.外国人材の受け入れ
外国人の永住許可申請に必要となる在留期間を短縮し、企業側が外国人労働者を積極的に受け入れやすい環境整備を行うという内容です。
トヨタ自動車の人材確保を狙った働き方改革導入事例
働き方改革の内容を取り入れている企業はいくつか存在しますが、具体例としてトヨタ自動車株式会社では次のような取り組みを行っています。
*若手社員の賃金引き上げによる子育て世代への支援
*在宅勤務制度の導入による働き方の柔軟性向上
*社内に託児所を設置し育児と仕事の両立する女性の支援
同社では、女性を中心とした子育て世代への支援が多く導入されていますが、子育て世代を支援することで長期的な人材確保の実現も可能になります。
このように企業が働き方改革を導入する際は、将来的なメリットも視野に、自社の中長期的な経営戦略に合った制度を取り入れることが大きなポイントとなります。
働き方改革は生産性回復の糸口となる
最近では人手不足による長時間労働などがたびたび話題となり、一部の労働者に負担が集中してしまう労働環境が問題視されています。
働き方改革により労働人口の増加や労働環境が改善されれば、企業における離職率低下が期待できるだけでなく、結果的に生産性の向上も見込めることでしょう。