社内・社外の環境が日々変化し、様々なタイプの応募者もいる中で、企業の人事部や幹部にとって社員の採用基準は非常に悩ましいものです。
今回は、そんな採用基準を考える時に参考にしたい、ユニークな人材採用法をご紹介します。
一見奇抜にも思える採用方法の中にもきっとヒントになるものがあるはずですよ。
1.株式会社カヤック「内覧面接」
面白法人カヤックという名前でゲームや広告などのコンテンツ制作を行う同社は、毎年ユニークな採用を行う会社として日本で最も有名と言えるかもしれません。
そんなカヤックが現在行っている採用方法のひとつが「内覧面接」。
鎌倉に本社を構える同社は、鎌倉に住み、鎌倉で働く人を増やしたいという思いからグループ会社である鎌倉R不動産とタッグを組んで行うこの面接は、応募者が住みたいと思う物件に人事担当者が同行し、物件の内覧と面接を同時に行ってしまうというもの。
内覧という日常的な場面における応募者のざっくばらんな姿を知ることと、時間の節約が主な目的ということですが、注目度の高い同社の採用方法にグループ会社の鎌倉R不動産を絡めることで、グループ会社の宣伝になるというメリットもあるでしょう。
カヤックでは過去にもユニークな採用方法を数多く行っており、企業サイトにてそれらの内容や、各採用方法による応募者や入社人数なども公開しています。
2.ナイテッド株式会社「新卒ユニーク採用」
インターネット広告などスマートフォンに特化した事業で躍進を続けているユナイテッドでは、野心と情熱にあふれた個性的な人材を集めたいという思いから「新卒ユニーク採用」を行っています。
選考方法はその名のとおりまさにユニークで、1泊2日のサバイバル合宿の中でチームによる目標達成を目指すものや、SNSやソーシャルゲームなどのインターネットサービスにどれだけ自分が没頭しているかをアピールするもの、即興のチームを作り3日間でゲームの制作から発表を行うゲームジャムなど。
応募者はそんな10種類のユニークな選考方法の中から好きなコースを選ぶことができるというわけです。
いずれの選考方法からも同社のその人の個性を重視する姿勢が感じられ、その人の本質を見るためには効率の良い選考方法と言えるかもしれません。
3.式会社星野リゾート「禁煙採用」
軽井沢の温泉旅館からはじまり、今やホテルや旅館の再生事業や、高級リゾートや高級旅館を展開していることでも有名な星野リゾート。
短期間で業績をV字回復する独特の経営戦略を行う同社では、喫煙者を採用しない「禁煙採用」なるものを導入しています。
これは、喫煙によって起こる中毒症状が社員の集中力を低下させ、作業効率の低下にもつながるという考え、社員の喫煙スペースを確保するのであれば、それを顧客サービスのために使うべきという考え、頻繁に休憩をする喫煙者と非喫煙者との不公平感をなくすという考えによるものです。
面接時に喫煙の有無を確認し、喫煙者でない、もしくはタバコを断つ誓約ができるのであれば次の選考に進むことが可能で、この採用方法は1994年から継続して行われています。
非喫煙者を求める理由の中に「星野リゾートらしさ」が見える好例と言えるでしょう。
ユニークな採用方法は企業をアピールできる手段のひとつ
今回ご紹介した採用方法には思わず「そんな方法で本当に大丈夫?」と心配になってしまうものもあったかもしれません。
しかし、人手不足、売り手市場と言われる昨今において、ユニークな採用方法は世間に企業の名前を広め、企業に興味を持ってもらうことができる有効な手段のひとつであると言えます。
特にSNSの利用が当たり前となっている若い世代に対しては、このような「ネタになる」採用方法は有効でしょう。
単に話題性だけを狙うことは避けるべきですが、時には柔軟な発想で、応募者の本質に近づける採用方法を検討してみてはいかがですか。