政府が働き方改革を推進する背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、ワークライフバランス改善の必要性などがあります。
新たな法律整備や働くことへの意識改革によって、生産性を向上させ長時間労働を是正することが重要な課題です。
今回は働き方改革が必要となった4つの理由と、改革を実現するための課題について解説します。
働き方改革が必要となった4つの理由・課題
・・1.長時間労働を是正してワークライフバランスを改善する!
長時間労働の是正とワークライフバランスの改善が、働き方改革が求められる1つ目の理由です。
日本の労働時間は海外と比較すると長く、長時間労働によるストレスや仕事に起因する自殺や過労死が問題視されています。
当然、労働基準法では1日8時間、週40時間という労働時間の上限が定められていますが、同法第36条による労使協定(いわゆる36協定)を締結することで際限なく働かされる環境がつくれてしまうのが日本の実情です。
法律上の問題だけでなく「自分や家族を犠牲にしてでも働くべきだ」という日本独自の文化や考え方も、長時間労働を助長しているかもしれません。
働き方改革では、このような長時間労働を是正してワークライフバランスを整えることを目指しており、法改正により企業には罰則を設けることも検討されています。
・・2.人口と共に減少していく労働力人口を確保する!
日本の人口減少に伴う労働力人口の減少は、大きな社会問題のひとつです。
労働力人口とは労働する能力と意思のある人の合計人数で、この人口をいかに増やすかが課題です。
一時は「改正高年齢者雇用安定法」の施行により、主に団塊世代の一斉退職を防ぎ、高年齢層の労働力を確保しました。
しかし、今後も人口減少傾向は続くとみられており、未来の労働力を確保するためにもさらなる改革が必要と言えるでしょう。
・・3.少子高齢化を防いで未来の労働力を確保する!
労働力人口の減少とともに、少子高齢化も大きな問題です。
65歳以上の人口比率は年々増えている一方で出生率は減り続けており、2060年には「2.5人に1人が高齢者」という状況が予測されています。
出生率減少の要因として、長時間労働に伴う晩婚化や保育園不足による待機児童問題などが指摘されており、解決のためには働き方改革による環境改善が必要となるでしょう。
・・4.労働生産性を向上させて経済成長を促す!
日本の労働生産性は海外と比較して低く、OECDに加盟している35カ国の中で22位です。
先進7カ国の中では最下位であり、働き方改革による生産性の向上が課題となっています。[注1]
長時間労働の是正のためにも労働生産性を改善し、経済成長を促すとともに、ワークライフバランスを改善することが大切でしょう。
参考元:
[注1](PDF)公益財団法人日本生産性本部 労働生産性の国際比較2016年版
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2016_press.pdf
働き方改革を実現するためには法整備と意識改革が重要!
以上のように、さまざまな理由から働き方改革が求められています。
改革を実現するためには労働時間を規制したり、違反時には罰則を与えるような法整備が必要です。
安心して子どもを産めるようにするため、保育園などの環境整備も重要ですね。
日本においては、「定時になっても周りが働いていると帰れない」といった風潮や意識が強く残っています。
制度や環境を変えることだけでなく、一人ひとりの意識改革も大切だと言えるでしょう。