近年、「残業」がきっかけで起こるさまざまなトラブルが増えるなか、働き方改革の重要性が叫ばれています。
働き方改革とは単に残業時間を短縮するだけではなく、企業側の抜本的な改革があって初めて実現する課題です。
残業時間を効果的に短縮するには、社員と企業が心配する以下の2つを解消することが必須となります。
1. 仕事量は同じなのに残業代が削減されるのは、結果的にサービス残業になり収入が減ってしまうのではないか
2. 仕事量が減り、業績が落ちるのではないか
ここでは両者の懸念を払拭するためにできる「仕事の質を高める働き方改革」についての5つのアイディアを紹介します。
1.フレックスタイムの適用
まずは、仕事をする環境を変えることです。
フレックスタイムを適用することによって、社員の一人一人がメリハリのある働き方ができるという利点があります。
業種によっては繁忙期や閑散期が月単位で決まっている場合があるため、暇な時期は早く帰ってリフレッシュをすれば、繁忙期へのモチベーションが維持させやすくなるでしょう。
2.プロジェクトごとに日次・週次での業務確認を推進
プロジェクトごとに朝礼や終礼を行なうことによって、業務内容を明確化する効果があります。
社員一人一人が何に取り組んでいるのか、その優先順位に間違いはないのか、効率の悪いやり方をしていないかなど、日次・週次単位でメンバー一人一人の仕事量の負荷や、やり方が把握できます。
逐一業務確認をしていけば、負荷の重い社員がいたとしても仕事を他の人に手分けし、効果的なワークシェアリングに繋げることが可能になるのです。
3.目標残業時間以上の残業は事前申請制
会社全体での月の目標残業時間を決め、それ以上残業する場合はそれぞれ直属の上司に報告して許可をもらうやり方です。
社員は直属の上司に、上司はその上の上司につながり、最終的には社長に報告するということがポイントです。
目標残業時間を決めることで、それに収まりきらない残業時間は数字で明文化されます。
収まりきらない残業時間を生む原因は、メンバーにあるのか、仕事を振り分けた直属の上司のマネジメント能力にあるのか。
問題点の在り処をスピーディーに発見し、それを受けた上司は、いち早く改善策を見出す必要があります。
問題点をメンバー全員、上司全員、社長に至るまで把握することによって、業務改善についてスピーディーな対応ができるようになります。
4.「有給休暇の100%消化」を目標にする
年間で取得できる有給休暇を100%消化することを大目標に掲げます。
労働基準法では有給休暇は「付与日から2年経つと時効」とされ消滅します。
その事を知っていたとしても、実際は「年度内に100%消化するのは難しい」と考える社員は少なくありません。
仕事が終わらないから有給をとってでも仕事をするということのないように、働く環境を改善することが先決です。
段階を経て、有給消化100%に近付くよう、パーセンテージを上げていく方法が望ましいでしょう。
5.減らした残業代をインセンティブとして報酬に還元
残業時間が減らない最大の原因は「残業時間を減らすと収入が減る」という恐怖感が社員側にあるからです。
今までの日本企業は基本給が低く、残業代込みの給料で家計を賄っていた背景があるため、「お金が得られるなら少しでも長く残業する」という選択になっているのです。
この悪しき習慣を失くすためには、減らした残業代を社員の報酬に還元することが大前提となります。
目標を達成した事業部門のメンバー全員の賞与にインセンティブを特別加算する方法は、社員個人だけでなく、事業部門全体の働き方に目を配る必要がでてきます。
個人が生産性の高い働き方をしないと全体に影響が出るとなると、自然と連帯意識が生まれ、個人の働き方への改革にもなるのです。
働き方改革は、決して人件費削減が目的ではなく、社員一人一人の働き方を効率的に変えていった結果、会社の業績アップ・社員の幸せにつながることが大前提です。
大胆な改革も必要ですが、まずは大目標を掲げ、段階的に目標に近付く方法が効率的な改革に繋がります。
企業の改革が社員のモチベーションを上げ、業績に繋がると信じてWIN-WINの関係を目指してください。