業務効率化のためIT投資をする企業が増えていますが、中小企業ではなかなかIT化が進まないケースも少なくありません。
「IT導入ができる人材がいない」「導入効果がわからない」などの理由でIT化が遅れてしまっている企業、そしてIT導入をする際のポイントについて解説します。
ITを導入しない(できない)理由とさまざまなITシステム
・・IT知識や導入効果が分からない企業が多い
ITを導入しない(できない)理由として最も多いのは、「ITを導入できる人材がいない」が半分近くを占め、次いで「ITの導入効果が分からない」という理由が多くなっています。
その他には、「コストがかかる」「業務内容に適したITシステムがない」「ITを使いこなせる従業員がいない」「個人情報・機密情報の漏洩の不安」なども挙げられます。
・・多岐に渡るITシステム
ITと言ってもその幅は広く、ホームページ開発やソーシャルメディアサービスの活用など初歩的なものから、メールやグループウェアなど社内のコミュニケーションを目的とする情報系システム、財務や在庫管理の業務効率化のための基幹系システム、企業間の電子商取引システム(EDI)までさまざまです。
中小企業でも約60%がITを導入していますが、その内容は給与や経理などの内部管理業務システムがほとんどです。
財務会計や販売管理など収益に直接関わる基幹業務システムや、電子商取引システム(EDI)を導入している企業は20%程度に留まります。
IT投資による効果の具体的な例
ITを導入したことで効果を得た具体的な例をご紹介します。
・・会計ツールを導入
「会計ツールを導入したことで、経理にかかる処理時間が月に18時間短縮され人件費削減に繋がった」
・・受発注管理ツールを導入
「建設業にて受発注管理ツールを導入したことで、発注ミスがなくなり営業利益が30%アップしました」
・・グループウェアツールを導入
「宿泊業にて予約台帳や業務情報共有に係わるITツールを導入したことで、顧客の情報や要望を迅速に把握し、質の良いサービスの提供が可能になり営業利益が40%上がりました」
また、実際にIT導入した企業に対して行った中小企業庁のアンケート調査によると、以下のような結果が出ています。
・・自社ホームページ開発による効果
営業力や販売力の強化=約53%
売上の拡大=約40%
新規顧客・市場開拓=約38%
・・ソーシャルメディアサービス活用による効果
社内において情報共有による活用=約40%
従業員の意欲向上=約18%
コスト削減=約17%
IT導入のポイント3つ
民間団体による国内IT投資動向調査では、2017年度のIT投資予算を増額した企業が前年を上回ったという結果があります。
今まではIT投資を行っていなかった企業も、業務効率化のために導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ITを導入するにあたってのポイントをご紹介します。
ポイント1. 段階を経て導入する
経済産業省では企業経営にIT活用を推奨していますが、3段階でレベルアップしていくことが望ましいとしています。
1.置き換えステージ
→紙や口頭でのやりとりをパソコンなどのITに置き換える
・ホームページで商品の案内
・メールなどコミュニケーションの電子化
・顧客情報のデーターベース化 など
2.効率化ステージ
→ITを活用して社内業務の効率化
・ネット販売
・資源管理システム(ERP)による情報の一元管理 など
3.競争力強化ステージ
→ITを活用して競争力強化を積極的に行う
・分析ツールを利用し、マーケティングや商品開発に役立てる など
ポイント2. クラウドコンピューティングの利用
近年では、ネットワークを通じて提供される新しいITサービス「クラウドコンピューティング」の需要が高まっています。
自社システムなど、従来のIT投資は高額なハードウェアやソフトウェアを購入する必要があり、コストがかかるものでした。
自社システムが「所有」であることに対し、クラウドコンピューティングは「借用」です。
ハードやソフトを所有する必要がないため、「導入までの期間が短いこと」、「初期コストが安いこと」が最大のメリットと言えるでしょう。
また、ITに関する専門知識がなくても導入できる点や、運用コストが安いこと、セキュリティ面の安全性なども需要を高めている理由です。
ポイント3. アウトソーシングの利用
専門知識や技術のある人材確保が難しい場合は、アウトソーシング(外部委託)を利用する方法もあります。
ITサポートや管理を外部委託することによって、人的リソースの少ない中小企業には負担を掛けずに導入することが可能となります。
業種に適した手軽なITサービスから始めよう
「IT化」とひとえに言っても、その方法はさまざまです。
一気に企業の全てをIT化するのではなく、まずは手軽なIT投資から始めることをおすすめします。
ITをサポートするソリューションベンチャーではさまざまなITサービスを提供しているため、それぞれの事業に適したサービスを選ぶことで、業務の最適化を計ることができるでしょう。