「残業ゼロ」に近づく社内コミュニケーション

 

安倍内閣がすすめる働き方改革の一環として、社会的に残業規制の動きが高まってきていますが、実際のところいわゆる残業ゼロの状態が日常化している職場は極めて少数でしょう。

また、残業ゼロの人がいる一方、いつも残業しているのは同じメンバーである職場も多いのではないでしょうか。

 

今回は、残業が発生する原因のひとつである、こういった業務の属人化(ブラックボックス化)の原因と、属人化の解消に有効な社内コミュニケーションの方法についてご紹介したいと思います。

 

 

慢性的な残業の原因は業務の属人化(ブラックボックス化)にあり

ビジネスにおいて突発的に発生した問題による残業や、納期前の残業というのは避けられない面もあり、全ての残業をなくすことは実際問題として不可能に近いかもしれません。

 

一方で、いつも同じメンバーだけが残業しているような慢性的な残業の場合、特定の人のみがひとつの業務を担当し、その人にしかやり方がわからないといった業務の属人化(ブラックボックス化)が大きな原因であると考えられます。

 

このような業務の属人化は、仕事をしていれば必ずといっていいほど発生するものです。

そもそも専門性の高い仕事であったり、多忙のため他の人に教える余裕すらなかったり、ミスを隠すためであったりと、属人化するその理由も様々です。しかし、いかなる理由であっても、業務の属人化は品質管理の問題や引き継ぎの問題、仕事効率の観点から考えてもリスクが高く、決して容認できるものではありません。

 

 

業務の属人化は情報共有により解消しよう

 

では、業務の属人化を解消・防止するには何をすべきか。それは属人化の反対のことをする、つまり業務の標準化です。業務を仕組み化し、社内でコミュニケーションをとって情報共有をすることにより、属人化は解消することができます。

それでは、業務の属人化を解消すべく、4つのステップについてみていきましょう。

 

 

・・ステップ1. 仕分ける

 

コンピューターではなく人間が仕事をしている以上、例えば資格や経験が必要になるような、その人しかできない仕事というのも当然あるでしょう。

そこで、まずは現状属人化している業務の中で、代行できる業務と代行できない業務に仕分けをします。業務を行っている本人だけで仕分けをしようとすると、責任感や遠慮などから、どうしても「ここは自分が」とあれこれ引き受けがちになりますので、チームや部署内でそれぞれの業務やスキルを可視化し、話し合いをしながら仕分けていくことが理想的です。

 

 

・・ステップ2. 仕組み化する

 

代行できる業務が明確になったら、業務フローやマニュアルを作成するなど、その業務を仕組み化し、研修を行います。

経験の浅い社員でも一定期間でのスキルアップによりこなせる業務なのであれば、育成計画を立ててスキルアップさせる方法も積極的に取り入れましょう。

 

 

・・ステップ3. 実際にやってみる

 

仕組み化の準備が整ったら、次は実際にこれまでその業務を行っていなかった人に業務を行ってもらいましょう。

マニュアルを作成した人がいると、どうしても緊張感が失われたり、ちょっとした部分で手伝ってしまうこともあるため、可能であればマニュアルを作った人が有給休暇をとるなどして、完全に不在の状態を作りましょう。

 

 

・・ステップ4. 仕組みのメンテナンス

 

仕組み化された業務を実際にやってみて、疑問点や問題点が出てきた場合は仕組みのメンテナンスを行いましょう。

また、他の人に業務を任せることができても、今度はその人のもとで業務が属人化してしまわないように、定期的に担当者を変更したり、仕組みを変える必要はないかなどのフィードバックを行いましょう。

 

 

 

 

属人化を解消するための方法として、1〜4までのステップをご紹介しましたが、いずれのステップにも社内でのコミュニケーションが必要であることがお分かりになったかと思います。

 

仕事は人と人との関わりがあってこそ成り立つものであり、会社という組織ではより一層、人と人とのコミュニケーションが重要になってきます。

働き方改革によりこの先数年でさらに残業規制の動きは高まってくることが予想されますので、社内でのコミュニケーションをさらに活発化し、残業ゼロが当たり前になるような環境づくりを目指しましょう。