「業務の見える化」という言葉は聞き慣れた言葉となりました。
しかし、何が・どう「見える化」することで、どんな成果が上がるのかというところまで考えなければ意味がありません。
今回は「フロントオフィスの見える化」、特に「顧客ニーズの見える化」について掘り下げてみます。
物が売れない時代だからこそ「顧客ニーズの見える化」を
作れば売れる、魅力的に宣伝すれば売れる、優れた特徴のある製品を作れば必ず売れる、そんな時代は終わりました。
人口が減少傾向にあり、マーケットが縮小した現在では、個々の顧客が求めているものを知り、それを提供する必要があります。
どんな優れた製品やサービスも顧客のニーズとマッチしていなければ売れない時代になったのです。
・・「可視化」ではなく「見える化」しなければ意味がない
そこで必要となるのが、顧客ニーズの可視化です。
ツールなどによって入力し、可視化した顧客データは、常にスタッフが意識できるように「見える化」します。
「可視化」と「見える化」の違いは、「可視化が」単純に閲覧可能な状態にしたことを指すのに比べ、「見える化」は意識せずとも自動で見える(見せられる)環境を整えることを言います。
例えば、顧客データを検索しないと見えないのが「可視化」、タスクなどに記載した顧客名から重要な情報が自動で表示されるのが「見える化」です。
「見える化」は見たくない情報でも強制的に見せる、という特徴も併せ持ちます。
そうすることで、否が応でも顧客ニーズを意識した営業活動が可能となるのです。
・・顧客ニーズの「見える化」で先回りした対応が可能に
顧客ニーズを「見える化」することで、その顧客が懸念していること、顧客の判断基準、過去のクレームなどを常に把握でき、先回りの対応ができます。
取引先へ向かう途中や、外出先などでも、顧客ニーズを簡単に確認できるツールがあると便利です。
例えば、スケジュールをチェックすることで、今から向かう取引先の顧客情報が自動で見えるようになっていれば、確認し忘れもありません。
・・顧客情報の「見える化」は顧客の信用を守る
顧客との商談などのスケジュールは営業マンの都合ではなく、顧客のスケジュールに合わせるべきですね。
ただし、いつも同じ営業マンが顧客の希望通りに出向けるとは限りません。
顧客が固定の営業担当を求めている場合もありますが、それでもその営業担当が退職したり、体調を崩して休むこともあり得ます。
急な担当の交代でも、顧客情報が常に共有され、「見える化」されていれば、あわてることはありません。
逆にもしも顧客情報の引き継ぎが上手くいっていないとどうなるでしょう?
「担当でないのでわからない」は、顧客には通用しません。
もしも、前任者が「社に戻って検討します」と答えた内容が、全く進展していなかったとしたら…。
顧客の信用を完全に失ってしまう事態も予想されます。
顧客は引き継ぎが上手くいっていない部分に関して、はじめから説明させられることに苛立ちます。
そして、企業が顧客の利益を考えているというイメージを持ちづらくなるでしょう。
どんな緊急の事態であっても、顧客のニーズは常に把握しておくべきなのです。
契約に至らなかった顧客のニーズも可視化すれば次に繋がる
一度でも契約をした顧客のデータは、契約書などが保存されている為、可視化は容易です。しかし、契約に至らなかった顧客のニーズも無視できません。
「何故、契約にいたらなかったのか」
「競合相手のサービスを選んだ理由」
「どこが改善されれば契約したかったか」
などを上手にヒアリングし、可視化しましょう。
その場ですぐに入力できる日報などのツールがあれば、素早く正確に可視化できます。
顧客は無限に存在する訳ではありません。限られた市場で最大限の効果を出すには、顧客情報の再利用が不可欠です。
フロントオフィスが可視化した顧客データを、企画、制作部門で「見える化」して活かせば、次は契約をとれるように柔軟に動けるでしょう。
顧客のニーズを「見える化」することで、フロントオフィス業務の成果を最大限に向上させてみませんか。