ビジネスの現場では、日々多くのデータが行き交い活用されています。売上高や在庫管理といったデータはもちろん、顧客情報などの重要なデータもあり、業務上必要不可欠なものといえます。とはいえ、大事なデータを煩雑に管理していたのでは正確に把握することも難しくなり、活用どころか業務に支障をきたすことにもなりかねません。そこで今回は、エクセルを使ったデータ整理のポイントについてご紹介していきます。
不要な文字を削除して形を整える
エクセルは膨大なデータを整理できる大変便利なツールです。しかし単に打ち込んだだけではわかりやすいデータ整理はできません。そこで、まずは重複をなくしたり、同じデータをひとつにまとめるといったデータのクレンジング作業を行っていきます。
まず初めに行うのは余計なスペースの削除です。例えば顧客名簿の名前が不ぞろいの状態で統一感がないといった場合に、名字と名前の間に入るスペースだけを残し、名前の前後に打ち込まれてしまったスペースを削除すると、見た目だけでなく読み間違えなどのミスも防ぐことができます。
そしてこのとき便利なのがTRIM関数です。TRIM関数は、指定したセルの文字列にあるスペースをひとつだけ残して、余分なスペースを削除してくれます。名前の他にも住所や電話番号といったデータには複数のスペースが入り込んでいる場合があるので、TRIM関数できれいにしましょう。また、アンケート回答(自由回答形式)のような文章データには不要な改行が多く、この場合はCLEAN関数を使って不要な改行を削除しましょう。
形式を統一して瞬時にデータ検索
会社内にあるデータで多く見られるのが、日付や金額などの数値データです。数値データ整理では形式を統一させることが重要なため、入力の段階から形式を決めて行うのが一番良いのですが、すでに入力済みのデータや、いくつかの異なったデータを統合させる場合もあるので、ここではまとめて形式を統一する方法をご紹介します。
セルはぞれぞれの表示形式を持っています。日付の場合は、和暦か西暦か、数字の羅列にするか年・月・日の表記を入れるかなどさまざまな表示形式が指定できるので、日付はYY/MM/DD(年/月/日)で表記しようといったルールを決めて設定しましょう。
電話番号のデータではハイフンやカッコの有無がミックスされているケースが多く見られます。この場合は置換機能を利用してすべて数字の羅列のみに指定すると、後から検索するときも数字のみを打ち込むだけで済みます。
住所では、番地番号に全角と半角が混ざっている場合があり、全角文字を半角にするならASC関数、半角文字を全角にするならJIS関数を使うと良いでしょう。また英字表記の小文字を大文字にするのはUPPER関数、小文字を大文字にするのはLOWER関数ですので、合わせて使うとデータ整理がしやすくなります。
フィルタを使えば入力ミスを探し出せる
ひとつのデータの中に複数の項目がある場合、きちんと振り分けたつもりが違う項目に紛れ込んでいた、ということがあります。
たとえば正しい表記は「フィルタ」であるのに「フィルター」や「フイルタ」と入力してしまうと、異なるデータと認識され、例え同じ項目のものでも異なる箇所に振り分けられてしまいます。かといって、こうした細かいミスを拾いだすために一つひとつチェックしていくのは時間と労力がかかります。
そこで利用するのがフィルタ機能です。
フィルタを使うと指定した列内にあるデータの一覧が表示され、入力規則と異なるデータを抽出して見つけ出すことができます。データ量が多いと修正作業も大変になりますが、チェック作業は大幅に軽減されます。 フィルタ機能は特定の条件を満たすデータだけを抽出することもできるので、地域を限定して顧客を絞り込んだり、指定した日付のみのデータを取り出したい場合にも活用できるでしょう。
セルを関数利用で加工する
いくつかの情報ソースからデータを集めてくると、フォーマットだけでなく、セル自体の指定が異なっている場合があります。
その代表的な例として住所データが挙げられます。
1つのセルにすべての住所を書いている場合もあれば、都道府県と市区町村を分けていたり、さらに建物名は別にするなどより細かく分けられている場合もあります。このような場合は、関数を使ってデータ整理を行いましょう。「都道府県」「市区町村」といった複数のセルに分けられたデータをひとつにまとめる場合は、CONCATENATE関数を使います。まとめたいコラム(縦方向に並ぶセル)を指定すると別々だったコラムがひとつになります。例えば「都道府県」と「それ以外」をまとめると「住所」という一つのコラムになります。また、関数ではなく「&」という演算子で「都道府県&市区町村&番地」と入力しても結合することができます。
機能をフル活用!データ整理で時間を生む
エクセルには、このほかにも多くの機能が備えられており、それらをフルに活用することで作業の軽減や効率化が望めます。すべての機能を使いこなすには多少の時間が必要かもしれませんが、データをしっかりと整理しておくことで、今後の営業戦略が立てやすくなったり、顧客情報などの重要なデータを管理しやすくなるなど、そのメリットは計り知れません。
また、さまざまな業務があるなかでも、データ管理はやり方次第で大幅な時間短縮が見込めるため、ビジネスにおいて重視される「時間の有効利用」にも大いに役立てることができるでしょう。