ここ数年、ビジネスだけでなくプライベートの場においても「クラウドサービス」や「クラウド」といった言葉をよく耳にするようになってきました。
なんとなく先進的で便利なものというイメージはありますが、説明はできないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、今後私たちの働き方すら変えてしまうかもしれないクラウドサービスについて詳しく解説します。
クラウドサービスはインターネット経由で利用できるサービス
クラウドサービスの「クラウド」は、「クラウド・コンピューティング」の略で、コンピューターの使い方のひとつと考えてよいでしょう。
これまではパソコン本体のハードディスクにアプリケーションをインストールしてデータを保存したり、メールをはじめとした様々な作業をすることが一般的でしたが、クラウドでは主にインターネットを経由して、手元のコンピューターやスマートフォンで利用できるというものです。
利用者がサーバーの所在地を意識することなく、大容量のデータを利用できることが特徴で、既に多くの人に利用されているクラウドサービスでは「Gmail」や「iCloud」などが有名です。
そして、クラウドサービスは主に以下でご紹介する「SaaS(サース)」「PaaS(パース)」「IaaS(イアース)」の3種類に分類することができます。
●インストールすることなく利用できる「SaaS(サース)」
「SaaS」とは、「Software as a Service」の略語です。
従来、アプリケーションの使用にはインストールが必要でしたが、SaaSはアプリケーションをインストールすることなく、インターネット経由で利用できるサービス形態です。
スマートフォンやタブレットなど様々なデバイスからも利用が可能で、最も一般的なクラウドサービスと言えるでしょう。代表的なものには「Gmail」などのウェブメールや「Google Apps」「Dropbox」「iCloud」などが挙げられます。
●プラットフォームを提供する「PaaS(パース)」
「PaaS」とは、「Platform as a Service」の略語です。
SaaSのように一般的に利用されているアプリケーションではなく、アプリケーションを作ったり動かしたりするための基盤となるプラットフォームを提供するサービスです。開発者はハードウェアやOSを購入したり、プラットフォームの構築を行うことなく開発に集中することができます。
代表的なものには「Windows Azure」や「Google App Engine」などが挙げられます。
●インフラそのものを提供する「IaaS(イアース)」
「IaaS」とは、「Infrastructure as a Service」の略語です。
サーバーやOSなどのインフラそのものをインターネット経由で提供するサービスのことで、提供されるのは最低限の機能のみのため専門的な知識は必要となりますが、開発者は非常に自由度の高いシステムを構築することができます。
代表的なものには「Amazon Elastic Compute 」や「Google Compute Engine 」などが挙げられます。
クラウドサービスのメリット・デメリット
個人が利用するクラウドサービスとしてはSaaSが最も一般的ですが、情報資産の管理などを目的としてPaaSやIaaSなどのクラウドサービスを導入する企業も増えています。
では、企業がクラウドサービスを導入した場合のメリット・デメリットには一体どういったものがあるのか、一例をご紹介します。
クラウドサービスのメリット
*ハードウェアなどが不要で低コスト
クラウドサービスの場合は、ハードウェアやサーバーを所有せずに利用するため、購入のための初期費用や保守費用を考える必要がありません。
*システムの導入や入れ替えが容易
クラウドサービスの場合、月額や従量課金制の料金設定となっていることが多いため、使用しないシステムを必要なシステムに入れ替えることも容易です。
*IT担当者の負担が減る
自社でサーバーやシステムを管理する場合、保守などを行うための人員と時間が必要になってきますが、クラウドサービスの場合は、保守はもとよりOSのアップデートなども管理会社が行ってくれるため、従来かかっていたIT担当者への負担が軽減され、セキュリティ面の安全性も高くなることが予想されます。
クラウドサービスのデメリット
*細かなカスタマイズがしにくい
SaaSの場合は、システムがパッケージ化されていることが多いため、業務内容などに合わせた細かなカスタマイズがしにくい傾向があります。
自社のみでしか使用しないような特徴的なシステムが必要な場合は、PaaSやIaaSを利用してシステムを構築する必要があるでしょう。
*サービス停止の不安がある
可能性や頻度は低いですが、クラウドサービスの場合、ネットワーク障害が起きたり、サービス自体が終了してしまう可能性もあります。
また、企業にとって都合の悪い日時にメンテナンス日時が重なってしまう可能性もあります。
*通信環境を確保する必要がある
クラウドサービスの場合は、インターネット環境が整っている場所でないとデータやアプリケーションを利用することができませんので、現場に出向いて作業を行う場合などには通信環境を確保する必要があります。
クラウドサービスはメールといった身近なものだけでなく、PaaSやIaaSなど開発者向けの専門的なものもあり、目的や予算に応じて様々なパターンでの導入が可能です。
今後もさらに利用企業の増加が見込まれるクラウドサービス。さらなる普及により、企業だけでなく私たちの働き方も変えていくのかもしれません。