BPRと業務改善は混ぜるな注意!

 

BPRとは、Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)のことで、不況だった1990年代のアメリカ産業界で生まれた考え方です。

BPRという用語は、10年ほど前から日本でも盛んに使われ始めましたが、正確に理解せず、業務改善と混同するケースも目立ちます。

 

ここでは、BPRと業務改善の違いやBPRの効果的な進め方について解説します。

 

 

BPRと業務改善の違いは?

BPRと業務改善の違いを一言で言うと、壊して最初からデザインしなおすのがBPR、今あるプロセスを改善していくのが業務改善です。

 

ビルに例えると、一度壊して新しいビルを建て直すのがBPR、既存のビルを修繕、改築するのが業務改善ですね。

それでは、業務改善とBPR、それぞれの特徴をもう少し詳しくみてみましょう。

 

 

・・業務改善は少しずつ問題を解決!ITシステム導入は適宜

 

一口に業務改善と言っても色々な手法がありますが、「業務のムリ・ムダをなくし効率化をはかること」と言えます。

代表的な例では、在庫管理のシステム化や、マニュアル化などです。

業務プロセス自体を大幅に変更することではなく、小さなムダを少しずつ改善し、問題を解決していくことを指します。

また、ITシステムの導入は業務の改善をするために必要な場合に限られます。

 

 

・・BPRは業務プロセスを一気に再構築!ITシステムの導入が前提

 

BPRでは、業務プロセス自体に問題があるとし、最初から構築し直します。

白紙の状態からのデザインなので、客観的に分析できる外部の人材に頼る場合もあります。今までのプロセスに慣れきった、今までのプロセスしか知らないスタッフがまったく新しい業務プロセスを設計することは難しいからです。
実は不要な業務でも、伝統的な業務をなくすことに抵抗のあるスタッフは必ずいます。
企業のさまざまな分野にまで及ぶ改革ですから、すべての部門を客観的に見たうえでのアドバイスがなければ、各部門間の衝突もあり得るのです。

 

 

重複作業が多い・情報の共有ができていない場合にBPRが必要

 

BPRは、重複作業が多い・情報の共有ができていない場合には特に必要です。

 

例えば急激に成長している企業などでは、業務拡大に管理業務が追いつかない状態になり、「業務プロセスのフローが確立されていない」、「業務プロセスが可視化できない」などの問題が発生します。

 

また、他の企業を吸収したことにより重複する業務が増えたり、情報の共有がうまくいっていなかったりする場合も、思い切ってBPRを含む業務改革を行なったほうが良い場合があるでしょう。

 

 

「とりあえず」は通用しない!BPRは目的・効果・コストを明確に

一度BPRの導入を始めれば、一気に再構築が可能です。大規模なITシステムを導入することもあるでしょう。だからこそ、導入前の調査や準備はとても重要です。

 

なぜBPRを導入するのか、目的を定かにしましょう。導入にどれだけの時間がかかるのか、コストのかかるタイミング、詳細を把握しておかなければなりません。

 

そして、どんな効果を期待しているのか、期待している効果は本当に実現可能なのか、見極めが肝心です。

 

 

顧客視点を忘れずにトップダウンとボトムアップをバランス良く

BPRは大規模な業務プロセス改革のため、トップダウンになりがちです。

大掛かりな改革を速やかに行うには、どうしても上からの指示に従ってもらう必要が出てくるからです。

ですが、実際に業務を行うのは現場スタッフですから、当然ボトムアップ視点の調査も必要です。

 

ただし、BPRで忘れてはならないのが、顧客視点による業務プロセスの見直しです。
BPRの特徴の1つでもある、顧客視点で不要なプロセスを除くなどの、顧客中心主義による業務プロセスのスリム化を前提にしましょう。

 

アメリカでBPRが盛んに採用されたのは、アメリカの企業ではトップの意見が強く、BPRを実践するのに適した環境にあったから、という見方もあります。

 

それに対し、日本では現場の意見に押されすぎてしまい、思ったような改革案にならない、という問題が起こりがちです。

 

このような場合にも、外部コンサルタントなどに依頼して、企業の利益を俯瞰的に見ることで、それぞれのバランスを保つことができるでしょう。

 

企業の状態によっては、BPRを導入することが、業務効率化の第一歩となるかもしれません。業務改善とBPR、どちらが効果的か一度検討してみてはいがかでしょうか。